2025.09.11
この度、原作・真倉翔先生と、オープニングテーマを手掛ける-真天地開闢集団-ジグザグの命 -mikoto-さんのオフィシャルインタビューを実施いたしました!
実は、もともと繋がりがあったというお二人。そして原作『地獄先生ぬ~べ~』の誕生秘話やオープニングテーマに込めた想いなども伺いました!
――真倉先生と命 -mikoto-さん(以下、命)は、元々お知り合いだそうですね。どのようなご縁があったのでしょうか。
命:前世でお酒を飲むお店で働いていまして、真倉先生はそこの常連だったんです。なので、すごく親交があったとかではなくて。「 『ぬ~べ~』の作者さんがよく来る」と有名で、一方的に知っていたと言った方がいいかもしれません。おそらく先生は、記憶の片隅にいるくらいの認識だったと思います。それがこんな形で再会できて、運命的なものを感じました。
真倉:本当に驚きましたよ。アフレコの時にお会いして「初めまして」と挨拶しようとしたら、命さんが「いや、もう何回も会っていますよ」と。僕は運命というより、何か陰謀めいたものを感じました(笑)。それと同時に、アルバイトから有名なミュージシャンへと這い上がったことに感動も覚えて。前世……といっても15年ほど前なのですが(笑)、こつこつ下積みを重ねると、15年でこんなビッグになるのかと。こうやってまた再会できるなんて、確率でいうとかなり少ないんじゃないでしょうか。奇跡みたいなものですよね。
――そのお店でも話題になっていたという『ぬ~べ~』。この度、26年ぶりに新アニメ化が決定してのお気持ちを聞かせてください。
真倉:企画自体はかなり前から始まっていました。その時は「いつか形になったらいいな」と思っていたくらいだったので、まさか実現するとは! 聞いた時はかなり驚いたのと、この年齢になってもまだチャンスをくれるのかと(笑)。「神様ありがとう!」と感謝したことを覚えています。
――企画自体はいつ頃から?
真倉:それこそ、コロナ禍に入る前だったと思 います。そこから話が二転三転したり、コロナ禍に入ったり……。紆余曲折あり過ぎたので、実現しないものだと思っていました。それがいきなり決定して、本当に驚きですよね。平成版がセル画時代のアニメだったので、いつかデジタルアニメになったものも見たいと思っていました。それが叶って、喜びもひとしおでした。
――作画がデジタルになるだけでなく、設定にも変更が加わりました。舞台が令和になったことが大きな話題となりましたが、それは先生からの提案だったのでしょうか?
真倉:そうですね。当時の設定をそのまま描いてもしょうがないというか、今の子供たちでも違和感なく見られるようなアニメにしてほしいと思い、僕の方から「令和のぬ~べ~を描いてほしい」と伝えました。
ただ、放送が始まって、思った以上に「『ぬ~べ~』にスマホが出ている!」と驚きの声が多かったことが少しショックで。だって『地獄先生ぬ~べ~』以降も『地獄先生ぬ~べ~NEO』や『霊媒師いずな』、最近では『地獄先生ぬ~べ~PLUS』も連載していたので、スマホやパソコンはすでに当たり前に登場していました。なのに驚かれたということは、最近の話は読んでくれていなかったんだなって(笑)。
命:「平成版と比べて」ってことですよ(笑)。有名作あるあるですよね。
――(笑)。命さんは、そんな名作『ぬ~べ~』の新たなアニメの主題歌を務めることとなり、どう思いましたか?
命:いろんな意味でうれしかったですね。真倉先生と再びご縁が結ばれることに加え、ジグザグとしてもアニメタイアップは初めてになります。自分で言うのもなんですが、バンドのイメージと作品の世界観がピッタリなような気がして。何度も言ってしまいますが、本当に「運命」だと感じました。
――平成版のOP主題歌「バリバリ最強No.1」(FEEL SO BAD)の印象がとても強い分、新アニメの主題歌を手掛けることにプレッシャーなどは?
真倉:曲の手応えについて命くんが「自信しかありません!」と言っていた、とスタッフさんから聞いたのがすごく印象に残っていて。それを聞いて、「すごいな!」「かっこいいな!」と思ったんです。僕も今度から、作品について聞かれたらそう答えようと(笑)。
命:お恥ずかしい(笑)。実際は自信があったというか、「やらなきゃダメだ!」という自己喚起のために言ったことなのですが。やはり「バリバリ最強No.1」という『ぬ~べ~』を象徴する代表曲があるので、せっかくならその雰囲気を継承したいと思ったんです。言葉にすると「メタルサウンドの中にポップな要素があり、子供たちがあまり聞いたことのないようなジャンルの音楽」ですね。それにジグザグらしさ、『ぬ~べ~』らしさを凝縮して生まれたのが「P0WER-悪霊退散- 」になります。
――曲に込めた『ぬ~べ~』らしさについて伺いたいのですが、そもそも平成版のアニメ、または原作をご覧になっていましたか?
命:もちろんです。前世の頃なので、記憶は曖昧なのですが(笑)。ホラーという大元の中に、シリアスでコミカル、そしてセクシーな要素も含まれていて、僕の“好き”にドンピシャで突き刺さった作品でした。さらにぬ~べ~のようなヒーロー的存在も登場するのだから、男の子としてはたまらないですよね。当時、そんな作品は他になかったので、夢中になって見ていました。
しかし、曲を作る段階になると、そんな『ぬ~べ~』の要素を1つにまとめることなんてできるのか? とかなり悩みました。また僕自身「バリバリ最強No.1」が大好きだったので、自分が愛せる曲にしないといけないというのがあり。なかなかそうなってくれなくて、完成までにかなり時間がかかってしまいました。
真倉:確かに。最初にもらったデモと次にもらったもので、曲調も歌詞も変わっていたよね。
命:そうなんです。キャッチーすぎても子ども向けになりすぎてしまうし……「子どもも口ずさめるけど子ども向けになってはいけない」というバランスは最後の最後まで意識し、悩んだ部分でした。
――完成した楽曲を聞いて、真倉先生はどんな印象を持ちましたか?
真倉:まさかそんなに悩んで作っていただいたとは知らず。本当に『ぬ~べ~』にピッタリな曲になっていました。すごくありがたいです。「悪霊退散」のところとか、絶対に子供たちが口ずさんでくれそうですよね。
――命さんからクリエイティブなお話を聞けたので、先生からも作品作りについて聞かせてください。まず、原作『地獄先生ぬ~べ~』は、どのように誕生したのでしょうか。
真倉:作画の岡野先生とはもともと別で活動していたのですが、2人とも連載が短期で終わってしまって。「これからどうしよう……」というタイミングで、編集担当さんに「2人でやってみないか?」と言われたことをきっかけに、一緒に作品を作ることになりました。
一緒に案を出し合う中で、子ども好きの岡野さんの提案で「子どもを守る大人を描く」というのが最初に決まったことです。そこに、当時流行っていた織田無道さんの「霊能力者」の要素を加えて、「子供たちを襲う妖怪を退治する学校の先生」という設定が出来上がりました。最初に出来上がった読み切りのタイトルが『地獄先生ぬ~ぼ~』なのは、ゆうきまさみ先生の漫画『究極超人あ~る』が好きで、そこから「アール・ヌーボー」という言葉に引っ掛けて「ぬ~ぼ~」にしました。それでしっくり来ていたのですが、当時「ぬ~ぼ~」というお菓子があって、それと被ってしまうため『ぬ~べ~』に。慣れるまでにちょっと時間がかかりましたね(笑)。
――ホラーストーリーを考える際は、どのようにして作っていくのでしょうか。何か参考にされている本などはあるのでしょうか?
真倉:妖怪にまつわる文献ですね。当時は神田の書店などで買い漁っていました。あとは映画や、自分の見た悪夢を参考にしたりしていました。
――『ぬ~べ~』オリジナルの妖怪も登場しますが、その着想は先生の夢などから来ているのですね。
真倉:そうですね。最初はそうやってオリジナルの妖怪をたくさん出していこうとしていたのですが、あまり人気が出ず……。花子さんや口裂け女など知名度のある妖怪じゃないと、読者に受けないというのがわかりました。連載開始して間もない頃は、『ぬ~べ~』の認知度も低かったので。「あの妖怪が出ているんだ!」と思った読者が読んでくれて、認知に繋がったこともあります。ちなみに、最初に子どもたちから人気を得られた妖怪は河童ですね。
――ありがとうございます。そんな原作で話題となった妖怪たちも登場し、第1クールのクライマックスへと向かっているアニメ『ぬ~べ~』。楽しんでいる視聴者に向けて、メッセージをお願いします。
真倉:シリーズ構成の大草芳樹さんがすごく頑張ってくれて、1話ごとのストーリーにしっかり起承転結があり、ぬ~べ~がどうやって生徒たちに認められる先生となったか“成長劇”も描いてくれています。最後までぜひお楽しみください!
命:原作のどの話がアニメに登場するのか、僕も知らない状態です。最終話にどんな展開が待っているのか、視聴者の皆さんと一緒に楽しみますね。